受講生レポート❷

 

玉の緒会会員の平です。
先日、玉の緒会主催のイベント「3ヶ月で三味線できるかな?&長唄ガイド」に三味線ではなくお囃子で参加しました。
その発表は、三味線教室と若獅子会のお囃子教室の3ヶ月生徒さんとの合同でした。私は鼓(つづみ)と締太鼓(しめたいこ)で出演しました。

玉の緒会での次の三味線課題曲が小鍛冶で、若獅子会のお囃子教室でも同じ曲を取り上げると知り、新しい曲を覚え直さなくていいと思って気軽に申し込んだのですが、お囃子の譜面は、摩訶不思議な暗号でした。
ほぼモールス信号のようで、同じ曲でも
三味線:チンドツツン、トチトチトチ
小鼓:ツ、タ、ポン、スタスタスタ
締太鼓:テンツッツ、テケテケテケ
と、トリリンガルな脳内変換をすることになり、大パニックになりました。しかも本番では譜面を見ることができません。

暗譜はできでも、次の課題が。お囃子は身体の動きも大事な演出要素。普段とは違う肩や肘の使い方で理想の姿勢を保ち、かつ同じ楽器の複数人が揃って動くことで美しさが増します。そのため、動きを合わせる練習も繰り返し行いました。掛け声も出す必要があり、想像していただくなら、歌いながら踊るアイドルグループのレッスン生に中年で加入してしまったようなアウェイ状態です。

さらに、先生が9人日替わりで変わるという状況で、流派も違えば教え方も全て違いました。そんな中で、先生方が共通しておっしゃることを守りながら、齢30を超えた練習生たちが頑張ってついていきます。正座が続くと膝もポキポキ鳴っています。

本番目指して自主練習と集団稽古でお囃子方だけで合わせられるようになり、リハーサルに挑みました。初めて三味線方と音合わせをすると、9人の先生たちからは三味線の音を聞いて三味線のテンポに合わせるようにと言われましたが、これが難しい。だって私たちも揃ってないのに三味線も揃っていないんだもの!
そうなるともう掛け声が頼りです。三味線方の声、お囃子方の声、息遣い、目の端に映るお隣の動き。五感を総動員して、「いまどこ?!」、「我々早くないよね」、「あ、ごめん今間違えた」と、多分お隣とテレパシーで会話していたと思いますね。指揮者のいない打楽器の合奏は、息を合わせるしかない。ただもう一生懸命聴いて打つことだけです。

ヘトヘトになったリハーサルでしたが、本番では各々がリハーサルよりも合奏に慣れて、一緒に演奏しているんだというバイブスを感じました。音がズレずに重なっていると気持ちがいい。それぞれが役割を果たしている。もうこのメンバーが揃うことはないと思うとちょっと泣けてきます。

仕事ではない趣味の出会いで、世の中的にはニッチな趣味の多様な方々が集い、同好の士として共に学び、半学半教でアドバイスし合いました。

我々素人の発表の後はプロの先生方のフル小鍛冶の演奏。「雲泥の差だ!」、「こんな曲だったのか!」と驚きつつも、心は打ちのめされることなく、私たちは初めてこの楽器を持ってからやっと3ヶ月。未熟な現実を受け入れつつ健闘を讃えあい、修了証をいただき、名残惜しい解散となりました。

3ヶ月分の写真、練習音源、稽古の録画といったデジタルデータがスマホのメモリいっぱいになりましたが、心はもっといっぱいです。もうちょっと続けて見ようかなと思えたら、また会えるかもしれませんね。

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